HIROBA
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2020→2021 「前向きに」とかじゃない。
予想もしない1年だった。
…というフレーズがまるで時候の挨拶みたいに、ありふれたものになっている。
「良いお年を」という言葉を誰かに画面越しで伝えながら、しんどかったな、長かったなと思う。2020年って始まってたっけ?とさえ思う。始まらないまま終わってしまったような。時の流れは容赦なくて「お客様のご気分は預かり知らぬところでございまして、いただくものはいただきますよ」と、しっかり1年分の歳はと
松井五郎さんにきく、歌のこと 9通目の手紙「僕らは”われわれ”のことを書いている」水野良樹→松井五郎
松井五郎様
また嵐がやってくる。
テレビでも散々にそう言っていましたし、市井においても、みんな口々にそんな話はしていましたから、重々わかっていたはずなのですが、いざ実際に跳ね上がっていく感染者数、悪化していく医療現場の状況、それにともなって社会全体が憂鬱な雲に覆われていくこの感覚…それらを目にし、肌に感じると、どうにも戸惑ってしまうものです。
春に緊急事態宣言が出された頃に巻き起こってい
関取花 連載第27回「むくみが気になるお年頃」
少し前、久しぶりにバラエティ番組の収録があった。普段テレビの中でしか見ない芸能人の方々に会うのは、いまだにとても緊張する。正直やっぱりオーラが違うのだ。芸人さんもタレントさんも、みんなキラキラしている。街中で見かけたらきっと、すぐにただ者ではないことがわかるだろう。そんな人たちのところにしがないミュージシャンの私みたいな者がノコノコお邪魔させていただくわけだから、数日前からドキドキして落ち着かなく
もっとみる松井五郎さんにきく、歌のこと 8通目の手紙「あなたが、あなたの言葉を手にするために」松井五郎→水野良樹
水野良樹様
梢だけはいつもの年と変わらず秋の気配を湛えているのに、街は未だどこか重々しい空気に沈んでいます。水野君の書簡にあった、季節の移り変わりのグラデーションさえ、日々更新される数字のせいで、暗色へ流れていくようにも思えます。コロナ禍のせいもあるのでしょうか、これまでの仕事とは変わってしまった加重に生活のペースを乱してしまい、返信の期日を守れず申し訳ありません。水野君はお変わりありませんか