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関取花 連載第16回 わたしの年賀状

2020.01.08

わたしの年賀状

いやあ、いよいよ始まっちゃいましたね、2020年。
1990年生まれの私は現在29歳、今年誕生日を迎えたらもう30歳になる。いやはや、時が過ぎるのは本当に早い。
私くらいの年齢だとちょうど大学生くらいからみんなスマホを持ち始めていたので、それくらいから年始の挨拶はメールやLINEなどで済ませるようになっていった。最近ではアプリで年賀状制作もできるようで、年賀状的な画像がそのままポンと送られて来ることも多い。

少し前に地元の友人と会った際、年賀状の話になった。今じゃもうわざわざ紙の年賀状を自分から書くこともなくなったねと話すと、それが最近またやり始めたと言うのである。
聞けば、やはり結婚や出産、子供の成長の報告などがあると紙の年賀状を出すようになるのだと言う。たしかに実家に帰ると、何年も連絡を取っていなかった同級生から突然子供の写真付きで年賀状が来ていたりする。

そういえばまだ私が小さい頃、関取家でも子供の写真入りの年賀状を出していたことがあった。
あれは小学校二年生の時だったと思う。我が家はあまり家族写真を積極的に年賀状にする家ではなかったのだが、その年はドイツから中国へ引っ越し、年が明けたら日本へ戻るというかなりバタバタした一年だった。そのためいろいろな報告や挨拶も兼ねて、今年の年賀状にはおかげさまですくすくと成長した子供たちの写真を入れようということになったのである。
本当は兄と私の2ショットのいい写真があればよかったのだが、いかんせん二人とも写真を撮られると八割方目をつぶってしまう兄妹だったので、ソロで良さげな写真を一枚ずつ入れようということになった。

母は、二枚の写真から好きな方を選んでと言って私に見せてくれた。どちらもその年の夏休みに行った海水浴での写真である。ひとつは海の中から何かを採ってきたらしい私が、べちゃべちゃの緑の物体(たぶん海藻)を片手にカメラに向けて見せつけている写真である。

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ちなみに母はこっちをものすごく推していたのを覚えている。「元気な花ちゃんって感じでいいわよ」「海に行って楽しんでいるのが伝わってくる」「ほら手に持ってるよくわかんないやつも綺麗に写ってる」などと、とにかくいろんな理由をつけておススメしてきた。
しかしその写真は私からすれば海からあがりたてで髪はぼさぼさ、眩しかったのか結構なしかめっ面で、なんだかイヤだったのである。なので私はもう一枚の写真の方を推した。それは高い位置でツインテールをした私が、バケツを持ちながらカメラをガン見している写真である。

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この二つのイラストを見ていただければわかるだろう。そう、同じ日に撮影された写真であるにも関わらず、後者はもうなんていうかいろいろとド迫力なのである。
髪を下ろし、海藻を前に差し出していることによって遠近法で体が小さく見える前者に対し、後者は遮るもの一切なしで花ちゃんのムチムチわがままBODYが全面に押し出されているわけである。しかも少し開いた口の隙間から見える前歯がちょうど抜けていてレレレのおじさん状態だし、頭に置いた水中眼鏡がサングラスのようで、どこぞの富豪の娘感MAXである。あと謎の横向きね。今時ビールのキャンペーンガールしかやらないぞ。とにかくすごいのだ、なんていうか写真から来る圧が。

今ならなぜ母が前者を推していたのか痛いほどわかる。少しでも可愛く写っているというか、あまり太って見えない方にしてあげようという優しさだったのだろう。しかし当時の私は良くも悪くもピュアすぎた。底抜けに明るいリアルどすこいちゃん(そのことに一切コンプレックスを感じていなかったどころか、そんな自覚もなかった)だったので、「せっかくなら顔をみんなに覚えておいてほしい」ただそれだけの思いで後者を選んだのである。結局最後に母が折れて、わがままBODYの方が採用となった。

その写真は今でも実家にあるのでたまに見るのだが、そのたびに笑ってしまう。この絵面の強さを超える子供の写真は今までもらった年賀状でも見たことがない。なんたる堂々とした佇まい。なので、これはこれでお気に入りである。まあ今だったら絶対選ばないけど。これが届いた各家庭でどんな会話が繰り広げられていたかはわからないけど。それ以降、関取家では写真入りの年賀状を採用していないけど。

みなさんは今年、どんな年賀状を出しましたか。どんな年賀状をもらいましたか。
ちなみにこの原稿を書いているのは三が日真っ最中で、私の頭の中は完全にお正月モードである。マジで毎日ベッドに根っこでも生えてんの?ってくらい寝てる。そんなことをしていたら私は今年年賀状を出しそびれてしまったので、最後に私からの年賀状を一枚。

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今年もよろしくお願いいたします。

関取花アー写1912小

関取花(せきとり・はな)
愛嬌たっぷりの人柄と伸びやかな声、そして心に響く楽曲を武器に歌い続けているミュージシャン。NHK「みんなのうた」への楽曲書き下ろしやフジロック等多くの夏フェス出演、初のホールワンマンライブの成功を経て、2019年5月にユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。
ちなみに歌っている時以外は、寝るか食べるか飲んでるか、らしい。
関取花オフィシャルサイト
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ソングライター水野良樹が主宰するHIROBAの公式noteです。 『考えること、つながること、つくること』 その3つを豊かに楽しむための広場=HIROBAをつくっていく試みです。 定期購読マガジン『HIROBA公式マガジン』のご購読もよろしくお願いします。

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