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未来の自分との勝負

「TOKYO NIGHT PARK」HIROBA編集版
水野良樹×阿部広太郎

コピーライターで作詞家の阿部広太郎さんをお迎えしたJ-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。HIROBAの企画でも対話をつづける二人が語る“今だからこそ大事なこと”。全4回のHIROBA編集版としてお届けします。

Part 3 未来の自分との勝負

水野 話題を変えて、メールをご紹介します。

ラジオネーム しーちゃんさん(女性/20代後半)
「考えてほしいことがあります。考えないことってできますか?私には好きな人がいて、その人のことを考えすぎてしまって、考えないで生きられたらどんなに楽かなと思います。仕事、趣味、恋愛、どれも同じバランスで偏りなくとらえるにはどうしたらいいと思いますか?」

水野 恋をしている人にとっての“あるある”ですが、考えないというのは…これまた難しいですね。

阿部 う〜難しいですね!でも、とても幸せなことでもありますよね。もどかしさ、苦しさもあるでしょうけど、そこから逃れたいという気持ちも含めて大切な思い出になるはずですから。「恋に落ちる」と言うように、しーちゃんさんは落ちた穴から出ようとしている。

水野 (笑)わかりやすいですね。

阿部 穴から出て、知らないふりをしたい。でも穴から出ようとすればするほど、穴という存在が明確になっていく。考えないことは…できないと思います(笑)。

水野 (笑)

阿部 考えないことも含めて、どうすればいいか考える。その経験によって、その人の味わいが増していく。この自問自答は飽きるまでやってほしいと思います。

水野 たどってきた物語は忘れようと思っても消えない。

阿部 そうですよね。

水野 過去の物語の上に新しい物語を重ねて、続けていくことが大事だと思います。考えないというのは…難しいなぁ!

阿部 (笑)

水野 考える時間に依存していることもある。相手を思っているようでいて、実は相手を思っている時間に安心感を覚えてしまう。これがまた違う対象が見つかったときに、スッと抜けることもある。本当に好きなのか問いかけて、別の見方をすると変わってくる。

阿部 心のモヤモヤは行動に移すことでしか解消されないとも思いますね。

水野 なるほど。

阿部 思いを寄せている人に会いに行ける機会があるのなら、行動に移してみるといい。そうすることで自分の考え方や落ちた穴にどんな変化があるかを観察してほしいと思います。

水野 行動して物語をめくっていかないといけないですよね。次の展開は誰にもわからない。

阿部 自分の物語のページをめくることは自分にしかできない。その先の物語を進めていくことを大事にしてほしいですね。

水野 まさに阿部さんが今までやってこられたことですよね。自分で行動を起こして扉を開いていく。扉を開いて壁にぶち当たったら、また行動して何かに出会う。その繰り返しを振り返ったときに、楽しいと一括りにすることは難しいと思いますが、阿部さんにとっては宝物のような日々だったはずで、その実感がある。

阿部 恋こがれて突き進んできたことを振り返ると「この道を歩んできてよかったな」と。

水野 素晴らしい!

阿部 考えないようにしようと思わずに、感情のきらめきとともに一瞬一瞬を真剣に。嫌になるほど考えたことは未来の自分が覚えている。それは未来の自分との勝負でもあると思います。

水野 素敵な言葉ですね。いきものがかりが結成20年で、特にこの数年間は「プロとしての意識を持たなければならない」と強く思って頑張ってきました。

阿部 はい。

水野 でもメンバー3人で話していて、「よくよく考えたら…めっちゃ青春してたね」と(笑)。悩んだ時間や頑張った時間を振り返ると、素晴らしかったなと思える。もちろん大変なことも嫌なこともあった。それも含めていい物語じゃないかと。阿部さんの言葉を聞いて、ふと思い出しました。

阿部 自分の大切にしているものを、いかに裏切らずに噛み締めていけるか。コロナの影響でいきものがかりのツアーも延期や中止になってしまいましたよね。

水野 はい。

阿部 水野さんは、そのツアーが行われるはずだった日に、その土地の方たちに向けてTwitterでメッセージを届けていた。「いつかまた」と噛み締めるように。

水野 (ちょっと照れたように)はい。

阿部 今あるものに対する向き合い方こそが青春をつくり上げていく。それは年齢関係なく、いつまででも続けられることだなと感じました。

水野 ツアーが延期・中止になってしまって、なるべくライブ当日にその土地のことをつぶやくようにしています。先ほど阿部さんがおっしゃった「未来の自分との勝負」というか、あえて約束をしていこうかなと。

阿部 いいですね。

水野 この状況なので本当にできるかわからないこともある。同じ会場でやったとしても、本来は来られるはずだった人が来られないこともある。だけど「また行くよ」と約束しておくと、そこに向かって頑張ろうと思える。逆に約束をさせてもらっているような気持ちですね。

阿部 人によって成長の仕方は違いますが、僕は約束を果たしていくことこそが成長だと思っています。

水野 なるほど!

阿部 水野さんは各地の方々と約束をしていて、「あの日言ったことが今日叶いました」と言える未来が必ず来る。

水野 はい。

阿部 そのときにさらに成長した自分に出会える。約束は大事だと思います。

水野 それが自分を勇気づけることになりますね。

(つづきます)

次回:Part 4 新たな視点
前回:Part 2 人が変わっていく瞬間

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阿部広太郎(あべ・こうたろう)
1986年生まれ。コピーライター、作詞家。
2008年に電通入社。入社2年目からコピーライターとして活動を開始。
「今でしょ! 」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。
また、作詞家として、向井太一、さくらしめじに詞を提供。
2015年から「企画でメシを食っていく」を主宰。
近著「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」が大ヒット中。
阿部広太郎Twitter

Text/Go Tatsuwa

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