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人が変わっていく瞬間

「TOKYO NIGHT PARK」HIROBA編集版
水野良樹×阿部広太郎

コピーライターで作詞家の阿部広太郎さんをお迎えしたJ-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。HIROBAの企画でも対話をつづける二人が語る“今だからこそ大事なこと”。全4回のHIROBA編集版としてお届けします。

Part 2 人が変わっていく瞬間

水野 阿部さんが面白いのは「企画メシ(企画でメシを食っていく)」という、自分が表現するだけでなく、人を巻き込んで仲間を集める行動に出る。HIROBAにもすごく参考になるなと。始めようと思ったきっかけは何でしたか?

阿部 ひとつは「企画する人を世の中に増やしたい」ですね。自分でも驚くんですが、企画の仕事を通じて自分自身が耕される感覚があるんです。楽しくなっていく、豊かになっていく、その感覚を僕のいる広告業界関係なく、いろんな分野の人たちが持つことで、その人自身も生き生きするし、世の中もきっとよくなる。

水野 はい。

阿部 もうひとつは、シンプルに「やればできるんじゃないか」と。

水野 なるほど。

阿部 やり方次第で技術やノウハウは着実に積み重ねていける。やればできることを証明していきたいし、「そもそも、すでにやってましたよね」といろんな人に実感してもらいたい。その思いで、年々、企画仲間を増やしていっています。

水野 いやぁ、すごいですね。ある種、道場のようなところに若いクリエーターが集まって切磋琢磨するような。その光景はうらやましくなります。

阿部 水野さんがいまHIROBAでやられていることは、地面を芝生にしたり、公園の遊具を整備しつつ、多くの人の未来をつくる準備段階な気がして。この先、HIROBAにたくさんの人が集まって、いろんなものが生まれていくだろうなと勝手に想像しています。

水野 うれしいです。人に出会うことは阿部さん自身の変化につながりますか?

阿部 今もまさに「言葉の企画」という講座の真っ最中で、「どうして一人ひとりと向き合って、学びの場をつくっているんだろう」と僕自身も不思議に思うことがあるんですが、人が変わっていく瞬間を見ることが好きなんですね。

水野 なるほど。

阿部 短期間でも人の表情やキャラクターが変わっていくんです。それこそ、後ろの席に座っていた人が徐々に前に出てくるような。ささやかかもしれないけど大きな人間ドラマが生まれる瞬間が見たくてやっている部分もありますね。

水野 やっぱり阿部さんは人が好きなんですね。

阿部 僕自身も変われた経験があって、変わるというか、誰もがもっとその人になっていく瞬間がある。なりたい姿になっていけるんですよね。

水野 その思いがあるから、本の内容も方法論として上から落とすのではなく、他者を自発的に変えていくような方向性なんでしょうね。

阿部 そうなんです。

水野 今はコロナの影響もあって、SNSを見てもみんな他人のことをしゃべっている。

阿部 はい。

水野 何か間違いを犯してしまった人のこと、怒りを感じるような政治のこと、どうしても外に向きがちで、気づいたら自分のことをしゃべっていないことが多い。今必要なのは自分自身の物語です。阿部さんの本を読むことで知識を得るというよりは自分を変えるチャンスにする。それこそが重要だと思います。

阿部 スマホやインターネットに接する機会が今まで以上に増えて、その結果いろんな感情に振り回されていく。戸惑いや不安、心配も増えていると思います。さまざまな感情に振り回されようとも、いろんな出来事が起ころうとも、自分の体の中に落とし込んで行動することでしか、自分の世界は変えられない。この部分が強く問われていると感じてます。

水野 なるほど。

阿部 本のタイトルになっている「超言葉術」。この「超」には、「言葉を手繰り寄せて、超えていく瞬間を一人でも多くの人に経験してほしい」という思いを込めています。いま、この思いをいっそう強く感じています。

水野 どう解釈するか。CPUは自分の中にあるというか。情報過多な世界で、いろんな出来事や物事が自分の中を通っていく。それをポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかも自分次第。その人の視点によって世界を変えられるというのは、考え方としてすごく大事ですよね。

阿部 コップに水が半分入っている。「もう半分しかない」と思うか、「まだ半分ある」と思うか。物事の見方は自分で決められる。僕はそのことを伝えたかったんだと、ここ最近改めて気づきましたね。

水野 そう考えるとコピーも気づきを与えるものですよね。ステレオタイプなイメージを崩す。同じ商品やサービスでも見方が変わることで全然違って見える。言葉はその武器になる。本質的な部分でつながっていますよね。

阿部 コピーをつくる、みんなで言葉について考える、あなた自身がどう動くのかをあなたが決めていく、そこに落とし込んでいきたい。そうすることで自ずと見える景色も変わってくることを伝えたいんです。

水野 最終的には生き方になってきますよね。

阿部 そうなんです!言葉のテクニックの先にある人の生き方、幸せに関心があります。

水野 深掘りしていくと生き方にたどり着く。

阿部 コロナの時代で世の中の空気がガラッと変わりましたよね。この日々を、いかに過ごせば、いかに進めば、幸せになれるのかをみんな模索している。歌もコピーも、そこにあるメッセージは、人がどう生きるべきかという部分につながっていく。

水野 例えばプロ野球にしても、今まであったものがなくなったときに人の気持ちがどれほど切なくなるか。観客がいない中でも選手が試合をしてくれることによってどれほどの感動があるか。今まで気づけなかった感覚に気づくことがある。背景が変わることによって、見えていなかった感情も見えたかもしれませんね。こういったことをポジティブに捉えられたら、先につながっていくような気がします。

阿部 たくさんの発見をしましたよね。それを明日に、未来につなげられるか。クイズが出されている気がします。

水野 かなり大きなクイズですよね。

阿部 ライブもそうですし、エンタメもこの先どうやっていくのか。答えを出していかなければならないですよね。

(つづきます)

次回:Part 3 未来の自分との勝負
前回:Part 1 たどり着くまで

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阿部広太郎(あべ・こうたろう)
1986年生まれ。コピーライター、作詞家。
2008年に電通入社。入社2年目からコピーライターとして活動を開始。
「今でしょ! 」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。
また、作詞家として、向井太一、さくらしめじに詞を提供。
2015年から「企画でメシを食っていく」を主宰。
近著「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」が大ヒット中。
阿部広太郎Twitter

Text/Go Tatsuwa

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