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たどり着くまで

「TOKYO NIGHT PARK」HIROBA編集版
水野良樹×阿部広太郎

コピーライターで作詞家の阿部広太郎さんをお迎えしたJ-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。HIROBAの企画でも対話をつづける二人が語る“今だからこそ大事なこと”。全4回のHIROBA編集版としてお届けします。

Part 1 たどり着くまで

水野 こういう場面でお話するのが恥ずかしい感じがしますね(笑)。

阿部 そうですね(笑)。TwitterでHIROBAを知って、めちゃくちゃいいサイトだなと。感想をつぶやいていたら、水野さんとスタッフさんが反応してくださって。そこから「お会いしましょう」となったのが、ちょうど1年前の初夏でしたね。

水野 阿部さんはHIROBAの活動に対していちばん早くリアクションしてくださった方かもしれません。すごくうれしかったですね。「何か企画を始めましょう」とお時間をいただくようになって。

阿部 水野さんにお会いして、HIROBAを始めた動機を伺い、どんなことができるだろうかと想像を膨らませ、さらにはHIROBAのキャッチコピーを考えて。思考を探索していくような時間が楽しくて、一緒に何かを作り上げているような感覚ですね。

水野 同じ言葉を扱っていながらもお互い違うフィールドにいる。その中で付き合わせていく会話が楽しくて。リンクしている部分も多いことに気づきました。

阿部 僕はサービスや商品をどのように人に伝えるかをずっと模索していました。そこからエンタメやコンテンツをつくる仕事に携わるようになり、どんどん外側から内側に入っていくようになった。

水野さんは逆に内側から外側に出て、どうしたらもっと伝えられるようになるのだろうと考えていた。「今、交錯するように出会いましたね」と、言っていただいたことを今でも鮮明に覚えています。

水野 つながりを見つけることもできて、言葉に対するお互いの考えもリンクしてく中で、今年の春に阿部さんが本を出されました。

「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」

言葉をどう使うか、編み出していくか。そのヒントが込められている本で、多くの方に共感されています。

阿部 うれしかったことが2つあるんです。広告の世界で働く中でワクワクする瞬間がたくさんあって、物事の捉え方ひとつで輝き方が変わることを経験してきました。その感動を、この書籍「超言葉術」を通じて多くの方と分かち合えた喜びがひとつ。

もうひとつは、水野さんに本の帯を書いていただいたことです。

水野 恐縮です…(笑)。

「わかってほしい」
そう思ったことがあるあなたに、
阿部さんのこの本はぴったりですから。
だからね、読んでほしいんです。

阿部 自分が長年やってきたことは、伝えたい人と受け取りたい人の橋渡しをしてきたんだなと、水野さんの言葉で再認識できたんです。言葉にしてもらえた喜びをかみしめていました。

水野 本の中にもありますが、阿部さんがスタートラインからコピーライターだったわけではなく、広告代理店に入社してからコピーライターになるまでの粘りというか。

阿部 そうですね。

水野 コピーライターにたどり着くまでに時間がかかった。

阿部 最初は人事セクションに配置されて。あるとき、学生インターンシップ研修の立ち会いをして、はたと気づいたんです。

自分と年齢の近い学生たちが目を輝かせてプレゼンをしている。彼らの考えたアイデアで、その場の空気がパッと変わる瞬間がある。拍手が起こる、僕も手を叩く、でも僕の心は浮き立たず…猛烈なジェラシーを感じていた。舞台に立っている彼らの姿がまぶしすぎて。

水野 なるほど。

阿部 いざ挑んでみたものの難しくて、ものすごく時間がかかりましたね。なんとかしてクオリティよりも量で突破しようと試験でたくさんのコピーを書いて、面接でも「結果が出なければ3年で飛ばしてもらってもいいから、1回でいいから作らせてくれ」と啖呵を切って(笑)。

水野 噺家のお師匠さんに弟子入り志願するかのような(笑)。

阿部 そうなんです。

水野 クリエイティブな広告の世界って、才能を持った人たちが華やかなストーリーをたどっていると思いがちですが、阿部さんは泥臭いと言いますか…。

阿部 (笑)汗まみれになりながら。先人たちが残してきた名作が掲載されている広告コピー年鑑があって、そのページをめくっているとワクワクする。これを自分が書けたらどれだけ楽しいだろうかと想像するわけです。しんどいなと思いつつ、楽しくてやめられなかったですね。

水野 阿部さんの言葉が具体的に変わっていったからこそ、周りの目が変わっていったと思います。3年間の中で変わっていったものは何でしたか?

阿部 打合せに僕は山ほどコピーを書いていくわけです。しかしながら、先輩が用意しているコピーは3つくらい。その一つひとつがズドン、ズドン、ズドンと、ど真ん中を言い当てていく。「書くべきはそこだったのか!」と僕は気づく。

水野 なるほど。

阿部 みんなが目指したくなる旗。言葉で指し示すところはここだったのかと。僕は全然違うところ目掛けて走っていた。この差こそが埋めるべき距離だなと体で感じました。その感覚を次に生かして、本質にたどり着く機会が徐々に増えていったんです。

水野 聞いている人にとっては勇気の湧く話ですね。言葉を扱うって天賦の才のようなイメージがあります。体験を増やしていくことによってフォーカスの精度が上がっていく、自分の言葉の使い方が洗練できる。つまり習得できるものがたくさんある。

阿部 本当にその通りです。幼少期から自然とできている方もいらっしゃいますが、すごいなと思う人たちも試行錯誤を重ねていった結果なのではないかと思うんです。ボールを投げるという経験を重ねる、受け取ってもらえるかを確かめ、繰り返すことで相手の胸元にボールがいくようになったと思っています。

水野 ああ、面白いですね。

(つづきます)

次回:Part 2 人が変わっていく瞬間

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阿部広太郎(あべ・こうたろう)
1986年生まれ。コピーライター、作詞家。
2008年に電通入社。入社2年目からコピーライターとして活動を開始。
「今でしょ! 」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。
また、作詞家として、向井太一、さくらしめじに詞を提供。
2015年から「企画でメシを食っていく」を主宰。
近著「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」が大ヒット中。
阿部広太郎Twitter

Text/Go Tatsuwa

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